虚馬アーカイブス

私「窓の外」が「江戸川番外地」というブログに書いた文章をブログに移行したものです。

管理人:「窓の外」
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天藤真大誘拐」を読了した。

岡本喜八監督の映画版を見て見事にハマり、角川文庫版の原作も即購入した窓の外。

どちらもくり返し見て読んだので、筋はほぼ記憶している位、大好きな話。
創元推理文庫の「天藤真推理小説全集」にようやく登場したので、そちらも購入し改めて読んだ。

知らない人の為に、軽く粗筋を紹介。
戸並健次は三度目の刑務所暮らしの中である犯罪を計画していた。秋葉正義、三宅平太を仲間に引き込んだ戸並は出所後、彼等に計画を打ち明ける。それは、とある老女の誘拐。全国に名だたる資産家で持ち山が大阪府をずっぽり包んでお釣がくる4万ヘクタール。困難極まる状況を乗り越え、三人はその老女、柳川とし子刀自の誘拐に成功するが事態は思わぬ方向へ発展する。

 斬新奇抜で予想がつかない事件。存在感たっぷりのキャラクターがテンポの良い展開と洗練されたユーモアが入り交じって昇華する、本当に一つの理想的な小説。ある意味ファンタジーのような話でもあり、それでいて一つ一つは現実的に展開する。その天才的な構成力は何度読んでも感動する。

 筋を知っていても何度でも読みたい小説。こういうのが真の娯楽小説の傑作と言われるべきだろうと思う。

 家に帰ってから借りてきた「ナビイの恋」(中江裕司監督)を見る。
評判がいい映画だったのだが

・・・ヤハリ良かった。
音楽の沖縄民謡と西欧音楽のミックスは相性が良く、選んだ弾き手、歌い手も素晴らしかった。
そんな方々が奏でる音楽に乗せて語られるおばあちゃんの秘めた恋のお話。おばあちゃんが昔の思い人と消えていくシーンよりも、残された人たちが幸せに歌っているラストシーンで泣けた。おすすめ。