虚馬アーカイブス

私「窓の外」が「江戸川番外地」というブログに書いた文章をブログに移行したものです。

管理人:「窓の外」
ホームページ「江戸川番外地」で過去に書いたテキストを移行したブログです。

生宮崎駿はこうして拝んだー「千と千尋の神隠し」舞台挨拶in 日比谷みゆき座ルポ

 「千と千尋の神隠し」の公開を前日に控えた昨日19日6時頃、銀座に降り立った窓の外。  この日のために、デジカメを用意してお・・・・く事が出来なかった(一度買いに行ったら、値段が予算を大きく超えてんだもん)ので、ばたばたとビッグカメラ新館で購入。
 相変わらずの行き当たりばったり人生である。

 ソニーサイバーショット
 自分としては大奮発である。(なにげにボーナス物欲解放戦線の規模として最大であった。)  結構機能がいい割に手頃な値段だったので購入したのだが、店員に付属の電池だけでは3・4枚しか撮れませんから、充電池も買えという脅しを受け、7800円也の充電池セットと予備のメモリースティックを購入を余儀なくされる。
 くそソニーめ!ALL IN ONE、とか書いて置いてよけいなもん買わせるなよ!あこぎな商売しやがって。

 そんなこんなで8時頃、日比谷東宝映画街のスカラ座前に行く。
 予想通り既に300人近く、並んでいる。

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 スカラ座の社員の人が集まっている行列に向かって言う。
 「券は早朝お売りいたしますので、いま並んでいる方は一端帰っていただいて、五時頃またお越し下さい。」
 「お客様が入りきらない場合、第2弾として日比谷映画でも舞台挨拶も予定しております」

 行列している連中、聞きやしねえ。
 そのまま並び続ける。

 くそう、遅れてなるものか・・・と並ぼうとするアタクシ。
 しかしふっと思いとどまる。

 せっかくのデジカメを充電せずにこのまま並んだら、確かに舞台挨拶は見れるかもしれないが、写真はとれないかもしれん!!
 という考えのもと、戦略的撤退!そのまま家へ戻る。

 充電をし、風呂に入り、着替えて夜11時頃、家を出るアタクシ。
 12時近くに銀座に到着。日比谷映画の前にも列が出来ており、その列に並ぶ。


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 私、ここで大きな勘違い。
 これはみゆき座の行列だったのである。

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 説明すると、日比谷東宝映画街には上の画像の三つの東宝系映画館がある。  「千と千尋の神隠し」が本来上映されるのは、スカラ座とみゆき座のみだったのである。  さっき東宝スカラ座社員が言った、「日比谷映画での舞台挨拶」の列を「みゆき座での舞台挨拶」と混同してしまっていた。
 しかし、その時点ではみゆき座での舞台挨拶は予定されていなかったのだ。

 それに気づいたのは並んでから20分くらい経ってからのこと。
 徹夜で行列を仕切ってらっしゃる社員の方達の説明でようやく事態を知った。
 しかし・・・窓の外は残った。その理由は・・・。

 美味しいから

 ・・・なんてことはちょっと思ったけど、無論、こっちに並んでしまった手前、今更やめられない、という変な意地もあった。
 それと「面倒くさい」・・・ということもちょっと思ったが、こちらに残って傍観者に徹するのもいいかな、と思い始める。
 それと、日比谷映画でやるならみゆき座でやる可能性もあるじゃん、という楽観した気分でもあったのだ。

 まあ、そんなこんなで暗い中、バックライトの薄いゲームボーイアドバンスを遊ぼうと四苦八苦していた窓の外の周りで突如拍手が。
 すわ!誰か来た!
 と、ジャーナリストの本能が(んなわきゃーない)、カメラを手に俺を走らせた。

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 案の定、あるジブリの大物、鈴木敏夫ジブリ取締役兼プロデューサー、恒例となった深夜の行列偵察である。
 「すごいなあ」をいつものように連発し、「最後まで頑張ってくださいねー!」などと、劇場が公式では禁止している徹夜連中を激励!「はあい」という歓声と拍手が、去っていく鈴木プロデューサーを送る。
 
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 そんな騒ぎも一段落、何事もなく夜はふけていく。
 前に座っている美術系学生とおぼしき連中は、ヤクでも打っているかのようなハイテンションを維持しているため、眠れやしない。近くのコンビニで何度か買い出しをして、ペットボトル数本と食料と一緒に、カフェイン系眠気ざましを3本ほど買う。結局、それは映画上映までに、すべて消費してしまった。

 頼みのGBAはプレイ出来ないし、持ってきた雑誌も飽きるほど読んでしまった長い夜がようやく明けた頃、少し動きが出てきた。

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 いよいよ券売の時間が迫り、あわただしく立ち始める(スカラ座日比谷映画組の)群衆。
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 もののけ特番でおなじみの電通社員やら、テレビカメラ、新聞関係者もぞくぞくやってきた。

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カオナシもやってきたぞ!「可愛い!」との黄色い声が飛ぶも無口なカオナシくん

その間にも、スカラ座日比谷映画の行列は日比谷公園前まで続いているにも関わらず、一向に伸びないみゆき座組行列に楽観主義の窓の外もさすがに不安になる。徹夜が無駄になるのは、さすがにしんどいからね。

 午後5時半過ぎ、スカラ座の券売所が開き、行列の前の人からスカラ座に消えていくころ、ようやくみゆき座組も起立。
 30分ぐらいして、スカラ座の観客キャパはいっぱいになり、残りの群衆が日比谷映画になだれ込む間にも向こうの列はどんどん増えていく。この期に及んで、みゆき座組行列の中にみゆき座と日比谷映画を混同していた人が何人かいて、ちょっとした混乱になる。ちょっと面白い。

 しかし事態は変わった!


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 なんと日比谷映画前にあり、次々と日比谷映画に消えていく群衆を指をくわえて見ていたみゆき座組行列にも、人が並び始めたのだ!!
 やりい!
 向こうの列が並びすぎてこっちに回ってきたのだ!

 そしてなんと日比谷映画も完パケしてしまった!
 さすが宮崎駿は集客力が違う。
 そして、7時過ぎ。みゆき座も開場。

 金曜初回割引システムで、なんと今日は学生・一般1300円!
 前売り券を忘れていた窓の外にはありがたいことであった。

 宮崎監督いつでも来い!とばかりに、確証もないのに前方に席を取る窓の外。

 その後グッズ売り場へ急行!
 金に物言わせて、8000円ほど散財。

 上映開始が9時10分のためその間にGBAをやったり寝たり寝たり本読んで寝たりした窓の外。
 その間にも客は次々入場し、ここも立ち見が出る盛況ぶりに!
 同地区3館が同じ作品で満員御礼。1800名近い観客がほぼ同時にでこの作品を見ることになった。凄すぎる。

 そんなこんなでトイレも済まし、最後の眠気覚ましのモカも一気に明け、万全の体制で上映に臨む!
 ビィー!とおなじみのブザーがなり、まもなく上映のアナウンスが流れ、やがて館内暗転。

 CMと予告編に引き続き、ようやく本編上映!!

 ・・・・・。
 徹夜したにもかかわらず、その緩急自在の演出、美麗な美術、魅力的なキャラクター群に画面に引き寄せられ、2時間5分の上映時間、宮崎監督の巨大な掌の上で興奮し笑わされ、しんみりした満足の作品。

 とだけ言っておこう。

 木村弓の「いつも何度でも」を聞いて胸にせりあがる感情を抑えながら、手はいつでもカメラのスタンバイオーケー!!
 いつでもきやがれ!な状態に。

 (・・・・でも来なかったらどうしよう)

 などという一抹の不安と共にスタッフロールを見つめる窓の外。
 やがて場内が明るくなり、われんばかりの拍手がうなるように起こる!!(これはもうお義理でない心からの拍手だと信じたい)

・・・・・・

 あーーーーー!

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!!


来たああああ!
とりあえずカメラをすぐさま取り出し、軽い恍惚状態と共に日テレ女子アナ(名前失念)を撮る窓の外。

すかさず前方に待機していたスタッフがアタクシに近づいてきた。
「カメラ撮影禁止です]
そんなああ!!ケッチー!ケッチィイイ!ブウー!ぶー!

そんなこんなをしているうちにどよめきが起こる。横の扉から現れた白髪のひげ親父は!!

監督だー!!(壇上で異様に照れる可愛い一面をのぞかせる)
柊瑠美ちゃんだー!!(ただしコスプレなし)
内藤剛志だー!!(いかにも場違いな所へ来た、という風情w)

でも私がスタッフの方をちらっと見るとこちらを向いて目を光らせている・・・ちっ!

こうなったら隠し撮りだー!!

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ああ!!


くそうピンボケだー!!

宮崎監督第一声
「来る前はいるのが(観客が)3人くらいだったらどうしようだなんて考えていたんだけれども、暑い中こんなに集まって頂いてありがとうございます」
謙遜にしては行き過ぎですが、非常に人柄が表れているコメント。
 「この映画は10才に向けて云々」という良く聞くコメントが続いたので以下省略。

 柊瑠美ちゃんの無難で素朴なコメント、内藤さんの監督を立てる大人なコメントを言っている間、窓の外はシャッターチャンスを狙っていた。

 とう!!

内藤さん、まだ喋ってます
どうだ!!

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 ホムペで見ると大した違いはないように見えますけど、写真的にはこっちの方がまともに撮れているので、満足!
 本当はもっと望遠を利かすつもりだったけど、仕方あるまい・・・。

 3人のコメントが終わり
 女子アナが
 「徹夜で並んだ方もかなりいたと聞きましたけれど・・・徹夜したかた~?」
 と水を向ける!

 「はあい!!」(心の声)と素直に手を挙げる窓の外。

 「そんな熱心なファンに対して、宮崎監督、一言お願いします。」と女子アナ。
 うおーん!感激!ありがとう!名前忘れてごめんよー!(オイ

 「ありがとうございます。この映画をみなさん、徹夜で作っている、と思われているかも知れないけど、徹夜はしてません。」
 「経験から言って、2時までに寝れば昼型生活は維持できます。」
 「ですが、それ以降になると、駄目ですね。2時半が3時になり、3時半が4時になり、5時になんないと眠れなくなる。」

 すいません。6時寝が基本になってます(爆)

 「みなさん、徹夜はやめましょう。(笑)」

 ・・・「徹夜は良くねえ。特に女性の美容にはな」
 というポルコ・ロッソの台詞を彷彿とさせるおせっきょ・・・もといお言葉を観客に残し、去っていく宮崎監督一行。
 感激と映画の余韻と徹夜明けの疲れを抱えながら、強い日差しの劇場の外へ向かった窓の外さんでした。

 おしまい。